風の歌

君は今如何してる?  泣いているのかな、笑っているのかな。
私は君と二人でよく来た、この場所に立っています。

あの頃のコト―――瞳を閉じれば色鮮やかに甦るけど・・・
耳を澄ませば―――君の優しい声、今でも聞こえるけど・・・

全部、今じゃない、過去のことで。

―――怖かったんだ。君の優しさが、君のぬくもりが
   君に支えられてなきゃ立ってられない自分自身が。

このままじゃ、何時か君を傷つけてしまう・・・そんなの絶対イヤ!

ゴメンね・・・辛い思いさせて。苦しい思いさせて。
でも、私も同じだから。君だけじゃないから。

「幻でもなんでも良いから・・・君に逢いたい・・・」
この呟きは私の本当の心だから。

風が私を包み込む。私を抱きしめてくれた、君のように。

ねぇ、この唄に込めた私の願い、私のホントの想い。
遠く離れた所に居る君の所へ。
風よ、汝が歌う古の歌に乗せて。
     ―――届けてください。

  『愛しています。ずっとずっと君だけを。』

静かに吹き付ける風が、頷いた気がした・・・


       




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